先進的技術、機械や機器、コンピュータ、インターネット、データ。「デジタル」は元来の概念から多様化し、人間との関係性を深め続けている。デジタルは人間に多くの恩恵を与え、利便性にあふれた未来の社会づくりには欠かせないものとなった。人間がデジタルに依存する度合いは高まり、デジタルはそれに応えるかのようにその能力を向上させ、さらに人間の依存心を強めていく。
デジタルテクノロジーがこれから起こす革新は、かつての産業革命における技術革新とは次元が違う。人間よりもはるかに優れた知能や機能を保有した人工知能やロボットが世の中を席巻し、やがて人間の補助役には納まらなくなる。
とかく、可能性に満ちたものほど厄介だ。可能性が放つ光に目を奪われ、それが併せ持つ影、光の中に潜む負の部分は案外直視しきれない。しているつもりでも、光がもたらす熱狂にのまれてついつい受け流しがちになる。検索エンジンは楽になる道具に過ぎず、知識化や思考する時間は減っていると漏らす学生のエピソードや、高性能化した人工知能やロボットが人間の仕事や様々な社会活動を代わりに担うようになるという予測を前にし、このままでは人間の役割どころか存在意義までもが奪われかねないという危惧、すなわち影の存在を僕は消し去れないでいる。
いまこそデジタルがつくる様々な光と影を捉え、最終的に光が影で覆い尽くされないために必要なことを突き詰めたいと考え、『デジタルは人間を奪うのか』(講談社現代新書)を上梓することになった。
当講演では、拙書のテーマに沿って、人間とデジタルの向き合い方について多面的に考察していく。
■小川和也(デジタルマーケティングディレクター)
アントレプレナー、デジタルマーケティングディレクター、著述家。 慶応義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年グランドデサイン&カンパニー株式会社(現グランドデザイン株式会社)を創業、代表取締役社長に就任。西武文理大学特命教授。数々のITベンチャービジネスの立ち上げや経営、デジタルマーケティングディレクターとして、大手企業や行政、アーティスト等の先端的デジタルマーケティング事例をつくり続けている。著書、連載、講演、メディア出演多数。 ビジネスだけではなく、デジタルと人間や社会の関係の考察と言論活動を行なっている。主な著書として、日本で初めて同タイトルの概念をテーマとした『ソーシャルメディアマーケティング』(共著・ソフトバンク クリエイティブ)、人間に大きな恩恵をもたらす一方で不思議な違和感をも生むデジタルの不気味さといかに向き合うべきかを説いた『デジタルは人間を奪うのか』(講談社現代新書)など。
■小川和也Official Web:小川和也のクリエイティブノート[URL: http://kazuya.dino.vc/]
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