科学の進展がもたらす恩恵とモラルハザード。20世紀における最大の問題のひとつに「核技術」があり、私たち世界連邦運動協会が扱う主要なテーマでもありました。この核の問題も未だ決して解決していませんが、21世紀となり人工知能や神経工学といった分野の科学技術が急速に進展し、これまでにはないモラルハザードが生み出される可能性が出てきており、そのことにより新たな平和運動の課題が生じています。そこで今回のシンポジウムでは「テクノロジーと身体性」をテーマにして、私たちの持続可能な社会や人のあり方について模索してみたいと思います。
■式次第:(12:30開場)
13:30第一部
司会:松田創(理事)
① 開会の挨拶(日下部理事長)
② 世界連邦運動の歩み(塩浜修常務理事)
③ 基調講演 松島倫明(NHK出版編集長)
「DIGITAL LOVE & PEACE」(仮)
今、世界が注目するシンギュラリティ(技術的特異点)。つまり人工知能(AI)が人間の知能を上回り、2045年には、人類はついに生物としての脳や体を超越するとされている。テクノロジーは僕らから身体性を奪ってしまうのだろうか?
現在、デジタル化があらゆるモノを「フリー」にし、「シェア」可能とする〈シェアリングエコノミー〉が生まれつつある。情報のインターネットに続いて分散化した再生可能エネルギーと〈モノのインターネット〉が普及し、「限界費用ゼロ社会」が実現しようとしているのだ。そこでは、金融資本ではなく社会関係資本が人々を媒介する。つまり「つながり」や「共感」が駆動する協働型社会だ。
そこでは再び、人間の身体性が鍵となる。たとえばトレイルランニングは、商業化に絡め取られたランニングからの自然回帰、身体性を奪還するためのカウンターカルチャーだ。最新の科学がこれを後押しする。脳科学の進展は、走ることは身体だけでなくまず脳細胞を作るのだと教えてくれた。ヒトゲノム解析と進化人類学は、人類がそもそも走ることで進化したことを明らかにした。マイクロバイオームの発見は、脳と腸、つまり心と身体を再びつなげようとしてる。マインドフルネス瞑想は、身体を使って心に再接続するメソッドだし、その場合、自然の中を走ることは、マインドフルであることと同義なのだ。
何より大切なのは、身体がデジタル社会のインターフェースとなっていることだ。走ることも、瞑想することも、そして単純に自然の中に身をおくことだけでも、ストレスを減らし、創造性を高めるだけでなく、「思いやり」と「共感」の心を養うことを、最新科学は声高に語っている。だから「GO WILD」という21世紀の自然回帰のムーブメントは、そうした社会関係資本を媒介とする協働型社会を生きるための基本的態度だし、シリコンバレーがマインドフルネスに熱狂的なのも、こうしたマインドとテクノロジーの交差点に新たな社会の到来を見ているからだ。DIGITAL LOVE & PEACEはいま、僕たちの手の中にある。
④ 質疑応答
⑤ 休憩 10分
15:00第二部
① パネルディスカッション
世界平和のための「衣食住」(仮)
21世紀の平和運動は、もっともローカルな「身体性」がテーマとなり、その文脈が自然環境問題や世界平和の運動と結びついていく!
パネラー:
【衣】林民子(エシカルファッション)
【食】長沼敬憲(食と脳/意識の結びつき)
【住】松島倫明(鎌倉への移住)
ファシリテーター:木戸寛孝
② 閉会の挨拶
16:30終了
主催:世界連邦運動協会
共催:世界連邦日本国会委員会/NPO法人世界連邦21世紀フォーラム/世界連邦ユースフォーラム
■松島倫明(NHK出版編集長) /林民子(NPO法人ソーシャルコンシェルジュ代表/SHOKAYジャパンオフィス共同代表/ DGBHプロデューサー)/長沼敬憲(サイエンス・エディター&ライター) /木戸寛孝(NPO法人 世界連邦21世紀フォーラム 理事長)
東京都出身、鎌倉在住。村上龍氏のメールマガジンJMMやその単行本化などを手がけたのち、現在は翻訳書の版権取得・編集・プロモーションなどを幅広く行う。手がけたタイトルに、デジタル社会のパラダイムシフトを捉えたベストセラー『FREE』『SHARE』『MAKERS』のほか、2015年ビジネス書大賞受賞の『ZERO to ONE』や近刊『限界費用ゼロ社会』がある一方、世界的ベストセラー『BORN TO RUN 走るために生まれた』の邦訳版を手がけてミニマリスト系ランナーとなり、今は地元の山をサンダルで走っている。『脳を鍛えるには運動しかない!』『EAT & RUN』『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』『マインドフル・ワーク』など身体性に根ざした一連のタイトルで、新しいライフスタイルの可能性を提示している。最新刊はレイ・カーツワイル『シンギュラリティは近い[エッセンス版]』
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